作品名:歩け! イヌバシリさん (Vol.1~8+番外編1つ)
作者:本質
東方創想話か、本質(木質)さんのブログにて読めます。

2013年、今年の頭にこの作品に出会いました。
たしか東方創想話で最終話が投稿された頃だったでしょうか。
椛が主人公の東方SSです。
最近、番外編が出てそれがやっぱり面白く素晴らしかったので
作品全体の感想をば。
何度も何度も読みたくなるちょう素敵な作品。

もちろんネタバレ。
そして私の個人的感想ですので。
それとおまけ程度の考察。
あくまであたいだけのもの。
じゃまはさせないよ!
イヌバシリさんシリーズを読んでないとチンプンカンプンだからね!
なんでこんなにイヌバシリさんシリーズにハマったのかだらだらと述べてみました



東方の二次創作品は今となったらそれこそ山のようにありますが
全部のジャンルで面白かったの3つくらいに絞って!
と言われたら私はこの作品をあげますね。
そんな、自分の中でも最高クラスの最高品ですよ。
他の2つはまあ別の機会で。

椛というキャラは東方で名前があるキャラの中でかなり情報が少ないキャラだと思います。
その中でこのSSは、うまく椛を幻想郷に馴染ませたのではないのでしょうか。
ただ、いま思い返してみると果たして幻想的かと言われたら
そうじゃあないかも。曖昧ですね。
オリジナル・キャラクターの多さもこの作品の魅力だと思います。
オリキャラって初戦はオリキャラで。
東方の二次創作をするにあたり幻想郷に馴染めることができるか、というのが
一番ネックになると思います。
それがこの作品は上手いんだから面白いに決まっているよね。

1から振り返ってみる。

●Vol.1
はたてちゃんを引きこもりから脱出させよう作戦のお話ですね。
ここは完全にギャグテイスト。
そして椛にちょっかいを出すあややと
それを適当に、かつわりと本気で嫌悪丸出しでうけとめる椛。
椛と仲良しにとりちゃん。

この構図、最後まで殆ど変わらないのがすごい。
やはり面白い作品には『一貫性』が欠せないのがわかります。
一貫性、それがないと読んでいる方も落ち着かないものだと思います。
ふわふわしている作品というのはそれもそれで有りなんだけど
起承転結、序破急を付けたいならやっぱり一貫性、変化と無変化のメリハリをうまくつけるのが
面白い作品の構図なのではないのでしょうか。
これからあと7作も、それでいてあんなに大きな話になるとは思えない
とても普通なスタート。

●Vol.2
1でスルーしたけど基本的に大天狗ともみじの会話から始まるイヌバシリさんシリーズ。
この大天狗というキャラは、ああ、あれ、あれだ。
Vol.9(番外編)の話が出てきてしまうんですけど
この結婚できない、売れ残り熟女の設定も活きるんだからすごい。
それと、天魔ちゃん。
天満ちゃんは天狗の社会でも五本指に入るくらいのえらい娘なんだぞ☆
見た目は子供。頭脳は老婆(原文から引用)
とことん王道なキャラ設定。
王道をこよなく愛するあたいにとってとても素晴らしいキャラクタなのです。

大天狗「鬼の接待しに宴会に来てね」
椛「よし鬼殺そう」
なお話。

少しずつ、山の過去について触れ始めるお話です。
山は昔、鬼さんたちが仕切っていたっていうそれ。原作設定だね。
安直ながらドコデーモン君のせいで電車の中でにやけてしまい周囲に変な目で見られること多数。
多分一回ではなかったはず。
そして初めて椛あややはたてが協力するお話ですね。にとりちゃんもいるけど。
それでやっと文章上だけでなく具体的な例で
白狼天狗が虐げられている描写が出てきます。

あややについて
あややがところどころ椛のことを大好きな描写がとても良いのです。だってこれ、オチにつながるし。
上手いこと使うし。本当に上手いこと使うし。
椛は口では嫌がっています。
烏天狗だし、容量も有り優秀なあややだから。
そう、あやや。
この作品の中であややはかなり重要な立ち位置にいます。
私はこの作品の中であややがめちゃくちゃ好きになりました。
あややの属性を好きになった、かな?

主人公より優秀で有能で実に生きることが器用で、主人公のことが好き。
椛があややのことをよく想っていないぶん「ライバル」キャラなのかはわかりませんが。
その「ライバル」キャラが優秀で冷静沈着で自分よりも格下の
主人公のために躍起になって飛び回る、この構図、素晴らしいですよねえ。

ああ、余談ですけど
枠組みに当てはめて考えるって言うのは人間、特に日本人が大好きなことだと
私は思います。
血液型占いとか好きでしょ? なんとかランキングとか。

●Vol.3

前半は
にとりを探し「あの場所」へ、なお話
ここでも協力するもみあやはたた
案の定電車の中で読むのは危険。
本質さんのSSは台詞が多く読みやすい。
ぽんぽんと進めていけるギャグの箇所は見習うべきである。
本当に、見習うべきである。

後半、山の社会が少しずつ明らかに。
未だに白狼天狗がいじめられる世界。
はたてを恫喝した椛を殴ってあげるあやや。
こういう所にあややのスマートさというか、有能さが出ている。
いいね、いいね。
ずっと仲良くしててよ椛とあややは。

個人的なことですが、私は「月」の描写がとても好きだったりします。
月を何かに例えたり、そういうのがね。
自分で拙く描写することも有りますが、他の方の夜の月の描写がとても好きなのです。
「ああ、悔しいな」
この台詞から始まる描写はとても好みで
未だに涙がうっすらと出てしまいます。
感情移入すればするほど好きになる。

そして少し戻りますが色々と騒動があり、仲直りして今回の件を振り返っている時のあややの言葉。
「もう少しだけ、待っててくれませんか」
このあややの台詞で目頭に熱いものがこみ上げてきます。
有能なあややのことだから、このままのではダメだと、いいはずないと思ってのこの発言でしょうか。
この台詞で一気にイヌバシリさんの、本質さんのフアンになりました。
こんなのって初めてで、特に上手い事言ったわけじゃないのに
台詞いっこでこんなに熱くなれるのはいままで築きあげて見えてきた
あややの性格、キャラクタ故なんじゃあないのかなって思う、私でした。

●Vol.4
ここから、ここから。
椛の過去の話が出てきます。
椛がここまで腐って曲がった理由。
まだ全部じゃないけどちょっとだけ出てきました。
そして語られる大天狗さんと椛の出会い。
生き残る能力に秀でた椛、全部復讐のため。
どんな作品でも復讐のために生きているものっていうのは
なんというか、胸のここあたりがきゅうとしまってしまう気がするよね。
椛はもっと、自分の為に生きてちょうだいな。
そうなれば、いいな。

短いけど次へ。

●Vol.5
前半はまたしても風雲河童城。
どんどん息が合う三人。

後半は私が最も好きなエピソードではないかと思う
「ナカッタ」なお話。
厄に当てられた椛はとてもワイルドで、必死で、前が見えていなくて。
そんな椛を見せるのもとてもうまい。
なにが面白いか、どこが面白いかと言われたら
説明しつくせないお話。

一直線で素直で脆い、そんな主人公。
性格だけみたらひねくれて曲がっていて素直とは言いがたいですが
彼女の過去を考えれば、とても一途で決して曲がることのないキャラクタなんだなと。
ここでも椛というキャラクタの一貫性が見受けられます。
でも、それって復讐のためなんだよね。
なんか悲しくなるな。
でも、二人のお陰で厄が薄れるのなら。

●Vol.6
前半はやっぱり三人で協力してどんどこ進むよ天狗のもとへ。
毎回毎回おもうけど木質さんは読者を腹立たせるのが上手い。
たぶんここまで描かれた椛だから邪険にされるのが嫌なんだろうなあ。
感情移入させといてひどい目にあうんだもの。
どちらかというと私は感情移入しやすい方なので
こういうのはクリティカルダメージなのよ。
振り返ってきて思ったけどこういう、本編と少ししか関係ないところで
三人はいろいろ協力している描写があるのよね。
改めて感動。
協力が深まるほどオチも深まっていく。

後半、とってもダアクでヘビィな始まり方。
具体的に過去の話が出てきます。
声を大きく出せるようになったはたてと支師匠になった天満ちゃん。
今気づきましたがはたての成長スピードがかなり早い描写が有りますが
これって、最後の話(Vol.8)の諏訪子の台詞のためだったのかなって気づきました。
え、すごい。
そうだったらすごい、素晴らしい。

拷問椛ちゃん。
きっと、これが初めてじゃあないんだろうなあと思うけど。
拷問される前に死んじゃうのかな、白狼天狗って。
いや、それともただの慰み者になってしまうのかしら。
どちらにしろずきりと胸が痛みます。
最近私もメンタルが強くなったと思ったら違っていた。
こんなに移入できる主人公、作品がなかったからだ。
椛のつ目剥がしシーンはしっかりと私の胸にダメージを与えています。
あしかりません。

はたてちゃんの本領発揮!
はたてちゃんとあややで椛を救います。
諏訪子様は本当に恐ろしい方じゃ。近づいたら危険だよ。
諏訪子様からだけじゃないんだよね、はたてとあややが救いたいのは。
この現状、この社会から椛、白狼天狗を救いたい。
そこからの守谷の誘い。
うーん、守谷、どこまでも汚い。

そして入院している椛の想起。
先輩との別れ。
ここが一番胸にキたかも。
どんどん流れて、Vol.1に繋がっていく。

そしてここで再び出る「もう少しだけ待っててください」
自分が死ぬことで誰かを守れる、ではなくて「肩代わり」できる。
ニュアンスの問題ですがここに椛らしさをかんじることができます。

そして手を組むあややと守谷。
ううむ。

●Vol.7
前半は秋姉妹の貴重な出演シーンとこんにゃくな話。
なんか誤解を受けそうな解釈。
あややが守谷のいうことを聞いています。
さすがあやや。
汚いなあ。
うふふ。

呪われた土地と先輩とあやや。
先輩視点での椛が少しだけ語られます。
この先輩、本当にいいキャラで
なんというか、椛に一番合うキャラなんじゃないかと。
惜しいけど、次点でであややかな。
ここらへんから守谷、といってもなかでも神奈子様の非道っぷりがたまらなく描かれていますね。

椛に嫌われるために襲うあやや。
まさかこういう嫌われ方をするとは、過去を知っている烏天狗だからこその手段なのでしょうか。
描写は殆ど無いですが、絶対に遊び感覚、それこそオナニー感覚で使われているよね椛って。
初めての失い方からもそれは見受けられます。
ああ、胸が痛い。首がかゆい。バリバリ、バリバリ。(違う人の作品の椛でした)

あややが動きます。
椛のために、自分のために。

これがたまらないんだよ!
優秀で有能でいつもは冷静沈着で頭のいいあややが
格下で取るに足らない存在の白狼天狗のために自分を犠牲にしてまで動く姿、これがたまらないんだよ!

おちつきましょうね。

●Vol.8(最終話)

最終話、過去に描かれたものがここに集結します。
ここは流れで語ってみます。

あややと先輩
この二人のシーンは少ないものの心に残るのはなぜでしょうか。
ふたりとももみじの事を真剣に思っているからでしょうか。
もっと、この二人を見たかったなあ。
でもそれは先輩の言ってる通り椛がいない世界だから
話しても仕方ないよね。
でも、なあ。

酔っぱらい椛と大天狗さん
椛がここまでオープンになれるのは大天狗だけかもしれません。
にとりもかな。にとりもだったらいいな。にとりにとり。
昔からの仕事仲間で、お互いに信頼もあるのでしょう。信用はなさそうですが。
まあ当時は大天狗からただのコマであったと言われたからね。

にとりが語る椛とあややとはたて
バラバラな三人がどうしてここまで協力できるのか
にとりが話します。
にとりの立ち位置はいわゆる傍観者。
どんなお話でも必要な傍観者。
そんな傍観者が、愛がある世界を望みます。

あややの動き
大天狗のもとへ。
淡々と準備をこなしていきます。
こういうしゃべりとか、椛を捕まえる手段とか
本当にあややだなあと思います。
はたてを思うのも、はたてに椛を託すのも
どんな気持ちで頼んだのでしょうか。

大天狗と椛
ここでいつのも二人の会話です。牢屋でですけど
色々と、淡々としていてこわいです。
昔の二人、大天狗があいつ殺しといてといい、椛がこなす。
椛が死んでも大天狗はああ、優秀なコマが死んだな、程度のそんな関係だったであろう昔。
そんな椛は大天狗が許せるはずもなく。
ここは、私のそうだったらいいなが叶えられて嬉しいです。
椛と大天狗、ここまで二人の関係を見ていると絶対に相容れるわけないなと感じました。
たとえば、椛が大天狗を許しちゃうのは違うなと思います。
それも、椛の一貫性のある性格から考えて。
一生懸命真っすぐ湾曲に歩いてるなあ椛。

はたてと諏訪子
椛をいじめる諏訪子と、それを許さないはたて。
二人の対決、そして今まで天魔の修行をうけていたはたての本領発揮!
二人の思いの違いが戦いを互角にします。
たかが天狗一介のはたてが神と渡り合うために必要な物は覚悟でした。
そこで諏訪子さんの台詞
「お前みたいなのがポンポン生まれるから、白狼天狗がいつまで経っても下っ端なんだよ」
はたてがどんどん強くなる描写、白狼天狗が虐げられている社会
簡単に強くなれてしまう烏天狗(はたては結構特殊だけど)と
努力しても上に上がれずひもじい思いをしないといけない白狼天狗。
全部を含んだ上でのこの発言なのだと思います。Vol.6の感想で言ったやつね。

椛VSあやや
語られる真実。
あややも復讐の対象だと知る椛。
ここらへん、初めて読んだ時しばらく興奮で眠れなかった覚えがあります(たしか徹夜で読んで朝の6時くらい)
そしてあややの真意を知る椛。
椛は絶対に許してしまうとも思いました。
大天狗は許さないけどあややは許す。
矛盾しているようだけど、この嘘つき天狗はぜったいにそうするだろうと。
ああ、あややの嘘が下手でよかった。
優しい妖怪しか居ない。

***と椛
最後の最後。
とと様とかか様にあった時の椛、さぞかし嬉しかったろうなあ。
***は死にました。
結局、***は復讐を行うことなく死にました。
それが元来の高潔な白狼天狗の姿だったのかもしれません。
これってよくある、陳腐で月なみな「復讐は身を滅ぼす」パターンなのでしょうか。
その言葉だけでは解決できない終わり方だと思います。
ここでいっこ気がかりだった、先輩と椛が出会えてよかった。
椛が椛であったのはこの先輩のおかげだから。
本当に良かった。
お話は終りを迎えます。

再び大天狗と椛
***との約束も果たせずダム工事を見つめる椛。
この姿が自分の脳裏に焼き付いて離れません。
見たことないのに、なんでだろ。すごく印象的だったのかな。
優しくする大天狗っていうのもたまらない。
台詞通り、椛の為に大天狗は何が出来たのかなって思ったけど
これが一番良かったんじゃないのかな。

はたてと引きこもりあやや
はたては今回部外者だったから、この事件を客観視できる一番の役どころ。
そのはたてがあややに、椛が全てを捨てられたのはあややのおかげだと言います。
本当にそうなんだよね。
あややが行動をしなかったら本当にそのままで
でもあややの思った通りにはならなくて、あややが背負うはずだった負荷を椛も受けて
だから、あややは自責の念にかられている。
あややは頑張ったのにな。本当にあややがんばったよ。

みとりと椛
みとりは個人的に好きなのですが
なぜみとりか? と疑問に思いました。
確かに鬼と関係があり、傍観者であるにとりの姉でもある。
適任なんですが、不意を疲れましたね。
すごくいいこと言ってるのもまた憎い。

追記二行13/03/12
にとりから姉は地下に~って話が以前のVolに出てるんだよね。
いきなりじゃなかったんだ。

家ぶっ壊しクマと鉄パイプ
ぼろぼろ泣きながら読んでいった箇所。
こういうのってずるいんだよね。
感動しないわけ無いじゃん。
原点回帰、椛とあややとはたてが初めて集った所。
ずるい、本当にずるい。
椛とあややとはたて、三人で歩いていく道は
きっと暗い道じゃないんでしょう。
先輩ありがとう。
イヌバシリさんは今日も歩いていくのでしょう。

●~ andante ~(vol.9)

まだ二回しか読んでいないので少し拙くなってしまうかもしれませんが。

いつもの大天狗と椛から始まる
もうこの二人がいつも通りなだけでも嬉しくて素敵。。
隊長になれた椛も割りとしっかり(?)隊長をこなしている様子
はたて、ちょっとインフレしすぎてない?
時空飛ばしちゃったよ。こわいこわい。
あと、にとりと椛が仲良い描写が少なかったので今回補えてよかった。
嬉しい。

それと、前も言ったけど木質さんは苛つかせるのがほんとうに上手い。
七光りくん殺したくなったもん。
まあ椛がやってくれたからいいけど。
はたてが怒るのも無理ないよ。
ああ、だんだん腹立ってきた。
あの野郎。

あややも言ってるけどあややとはたて以外にもみじのことを思っている人がいると嬉しくなっちゃうよね。
椛って天然かまってちゃん。

「番外編」って書くのがとても難しいんですよね。
木質さんはわかっている。
ものすごくうまく「番外編」を書いている。
本編の世界を崩すことなく、あくまでも番外編で
しかしそれに縋ることなくあるのが番外編。
「番外編」という括りで見てもこのお話は名作です。
木質さんはにくいお方。


~~~~
と、ここまで長々と書いていきましたが
振り返るのもまた新しいことに気づけてしいもんですね。
SS以外でここまで長い文章を書いたのは初めてなんじゃあないでしょうか。

最後にですが
素晴らしい作品に出会えたことにありがとうを。
素晴らしい作品を創りだした木質さんにもありがとうを。
あと太田順也さんにもありがとうを。

そしてこの作品を読み終えて、感想を書き終えて、私はやっとこう言えるわけです。

『ああ、面白かった!
また読もうっと!』